テラス・デュ・ラルザックは、南フランスのコート・デュ・ラングドック地区から2014年に独立した原産地統制呼称(AOC)であり、32の村で構成される。
シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルを主体とし、サンソー、カリニャン、モラステルやテレ・ノワールも使用可能である。
このアペラシオンは、マスター・オブ・ワインのジャンシス・ロビンソンによると、「コトー・デュ・ラングドック内で最も標高の高い銘醸クリュであり、近隣のピク・サン・ルーとともに、最もエキサイティングなクリュ」であると評されている。
またテラス・デュ・ラルザックは、アニアンヌ村とジョンキエール村にまたがる地域で、それぞれこの地の立役者であるマス・ド・ドマ・ガサック(1974年)とマス・ジュリアン(1985年)の本拠地であり、ラングドック・ワインのルネッサンスの地であると言える。
その後、1992年にはドメーヌ・ド・ラ・グランジュ・デ・ペールがアニアンヌ村に設立された。
生産地について
テラス・デュ・ラルザックは、エロー県の北部に位置する。非対称のV字型をしており、南北に流れるエロー川が横切っている。
ラルザック峠(Causse du Larzac)が北の境界線全体に続く。西はレルグ川の河床に沿って、北東はセランヌ山脈の側面、ブエージュ渓谷に沿って伸びる。
サン・ボーディル山が、ラルザックの最初の麓の中央部にそびえ、ラルザック渓谷の麓には、エロー川とレルグ川から50メートルほどの高さに、古い段丘が連なる。
テラス・デュ・ラルザックの自然境界を形成する斜面の一部は標高800メートルを超えるが、AOCコトー・デュ・ラングドックに格付けされているブドウ栽培地は、峠の斜面や古い段々畑の50~300メートルの範囲である。
土壌と気候
ジュラ紀の石灰岩の崖が張り出した石灰岩の泥灰土。エロー河の近くでは、凍土岩質の石灰岩が堆積し、川まで段々畑が続く。
ラングドック地方で最も寒暖の差が大きい気候帯であるが、海から遠く、峠に近いため、夏の夜は比較的涼しい。その結果、ブドウはゆっくりと着実に成熟し、ワインの色調とアロマの質の両方にとって有益である。
AOCの規定
このアペラシオンは赤ワインのみを対象としている。
シラー、グルナッシュ、ムールヴェードル(最低60%)を含む少なくとも2つの品種のブレンドが義務づけられており、シラー、グルナッシュ、ムールヴェードルは単独で75%、シラーとムールヴェードルは最低20%、サンソーとカリニャンは最高30%となっている。
アルコール度数12%以上で、収量は1haあたり45hLを超えてはならない。ブドウ樹は1haあたり4000本植え、畝間は最大2.50mとし、1株あたり新梢10本以下で短く剪定し、5年目以下の若木は使用できない。
取扱生産者
ドメーヌ・サン・シルヴェストル
ソフィーとヴァンサン・ギザールの二人がアニアンヌ村の北、テラス・デュ・ラルザックの標高320メートルを超える地域に8ヘクタールの畑を所有しぶどうを栽培しています。森の中の小さな礼拝堂(12世紀に建立、ローマ様式)を取り囲むように3区画の畑が存在します。