南ローヌといえば、シャトーヌフ・デュ・パプを筆頭に、多彩なアペラシオンが広がる名醸地です。その中でも リラック、ヴァケラス、ジゴンダス、ケランヌ は、スタイルの違いが非常に明確で、飲み比べると個性が一目瞭然。
本記事では、それぞれの産地の味わいを「ひと言で」キャッチできるようにまとめました。南ローヌのワインを選ぶ際のヒントとしてぜひお役立てください。
■ リラック(Lirac)
バランスの良い“万能型”で親しみやすい味わい
程よい果実味、酸、タンニンが心地よくまとまり、南ローヌの中でも柔らかく親しみやすいスタイル。料理との相性も良く、初めて南ローヌを試す方にもおすすめです。
おすすめリラック
リラック ルージュ 2022 ラ・バスティド・サン・ドミニク

紫がかった茄子色の外観。
香りは豊かでエレガントで、ブラックチェリーやブラックベリーのニュアンスに、バニラ、スモーキーさ、カカオが重なる。味わいはフレッシュで、力強さとしなやかさを併せ持つ構造を感じられ、絹のようになめらかで肉厚なタンニンが広がる。
余韻はカカオの花やトーストの香りが美味しさを引き立てる。
■ ヴァケラス(Vacqueyras)
スパイシーで力強い、骨格のしっかりしたスタイル
黒い果実の凝縮感とスパイスの印象、力強いタンニンが特徴。ジゴンダスと通じる“パワフル系”として人気で、しっかりした飲み応えを求める愛好家に向きます。
おすすめヴァケラス

美しい紫色。香りはチェリー、カシス、赤い果実のニュアンスが支配的で、そこに胡椒、オレンジの花、ジャスミンの繊細な香りが加わる。
タンニンは心地よく、濃厚なアロマと長い余韻が特徴。
■ ジゴンダス(Gigondas)
パワフルかつ構造的。南ローヌらしい重厚感
ジゴンダスは、南ローヌの中でも特に骨格が強く、凝縮感のある力強いスタイルの代表格。黒系果実、スパイス、しっかりとしたタンニンが重なり合う、堂々たる味わいです。ローヌらしい深みと迫力を感じたい時に最適。
おすすめジゴンダス
ジゴンダス ヴィエイユ・ヴィーニュ 2022 ドメーヌ・サン・ダミアン

区画はAOPジゴンダス内の下部テラス状の土地に位置する。
フルボディで驚くほどテクスチャーがあり、それでいて継ぎ目のないエレガントな味わい。
肉付きの良いダークフルーツ、クラシックな南ローヌの甘草、ローストしたハーブ、スパイスボックスのニュアンス。
シルキーな口当たり、良く熟したタンニン、余韻は長く塩味もあり、ムールヴェードルからくる深みや旨みが感じられる素晴らしいフィニッシュ。
■ ケランヌ(Cairanne)
滑らかでエレガント。果実と酸の調和が美しい
ケランヌはしなやかなテクスチャーや上品な果実味、バランスの取れた酸が魅力。南ローヌの中ではエレガントな方向性が際立ち、柔らかい質感の赤を求める方におすすめです。
おすすめケランヌ
ケランヌ レ・ドゥ・ザルブル 2022 ラ・バスティド・サン・ドミニク

■ まとめ:産地の個性を知ると南ローヌがもっと面白くなる
同じグルナッシュ主体でも、産地ごとに個性がこれほど変わるのが南ローヌの魅力です。
「今日はエレガント系? それともパワフル系?」と、気分や料理に合わせて選ぶ楽しさがぐんと広がります。
ぜひ、4産地の個性を飲み比べながら、南ローヌの奥深さを体感してみてください。