ボルドー右岸の名門がひしめくサン・テミリオンにおいて、シャトー・トロロン・モンドは「第一特別級B」という称号以上の存在感を放つシャトーです。
深みある味わい、エレガンス、そして進化を止めない造りの姿勢は、世界中のワイン愛好家やプロフェッショナルから注目を集めています。
第一特別級Bという称号の裏にある研鑽と地位
シャトー・トロロン・モンド(Château Troplong Mondot)は、ボルドー地方のサン・テミリオンに位置し、2006年の格付け改訂で 「サン・テミリオン第一特別級B(Premier Grand Cru Classé B)」 に昇格を果たしました。
この格付けは、ただ名声を示すものではなく、日々のヴィンヤード管理、収量の調整、熟成過程での品質管理、新樽(フレンチオーク)の使用比率の引き上げなど、地道な取り組みの結果に拠るものに他なりません。
テロワールとブドウ品種が織りなす複雑さと優雅さ
トロロン・モンドのワインの核をなすのは、その優れたテロワールです。標高の高いパヴィの丘の上に位置するため冷涼な気候の影響を受け、土壌は粘土質と石灰質が混じる重厚かつ冷たさを保つ構成。これがブドウの成熟をゆっくりと進ませ、芳香と深み、バランスを持たせる要因となっています。
品種構成は概ね 85~90%メルロー、残りをカベルネ・ソーヴィニヨンとカベルネ・フランが支える形。
熟度が高まりつつ、酸・ミネラリティとの調和を図る造りがなされてきており、近年はより洗練されたスタイルへと転換しています。
同じアペラシオンで比較すると、シャトー・シュヴァル・ブランやシャトー・フィジャックは、サン・テミリオンの北西端、ポムロールとの境界近くの低地の砂礫・粘土砂利質土壌に位置し、比較的カベルネ・フラン比率が多くなる傾向にあります。
なので、トロロン・モンドはパワフルさやリッチさが全面に出るのに対し、シュヴァル・ブランやフィジャックはエレガントかつ複雑さが際立つ優美なスタイルです。
ヴィンテージごとのスタイル変化
しかしながら近年のトロロン・モンドは、オーナーや醸造責任者の交代、新たな醸造哲学の導入などによって、クラシカルな力強さに洗練されたエレガンスが加わっています。
例えば、2010年代前半までのヴィンテージは、いわゆるかつてのミシェル・ロランスタイルの、重厚でパワフルなスタイルが際立ちますが、近年の2018年以降のヴィンテージは、果実味の鮮やかさとシルキーなタンニン、バランスの取れた酸が印象的です。
なので、とにかく濃厚なスタイルを求めるのか、濃密かつエレガントなスタイルを求めるのかは、2018年を境目に考えるとよいでしょう。
まとめ:変化の歴史を楽しむべきワイン
シャトー・トロロン・モンドは、格付けの肩書き、唯一無二のテロワール、スタイルの進化、そしてマリアージュや熟成の楽しさを備えた、総合力の高いシャトーです。
単なるスペックや評価点数ではなく、「時間と努力が紡いだ価値」の歴史が育んだ、サン・テミリオンの頂点に立つ力強さとエレガンスの世界をトロロン・モンドを通して、お楽しみいただければ幸いです。
トロロン・モンドのラインナップはこちら
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