
Château Belle-Vue
シャトー・ベルヴュー
【境界線は、一本の水路。— マルゴーの隣で、ボルドー最古級のプティ・ヴェルドが咲く】
メドックの銘醸地を貫く「シャトー街道」、D2号線。マルゴー村を南へ抜けたマコー村に、シャトー・ベルヴューは静かに佇んでいます。その畑の際に立つと、目の前にあるのはマルゴー格付け3級シャトー・ジスクールの畑。両者を隔てるのは、17世紀にオランダ人技師が湿地を干拓するために掘った、たった一本の水路(ジャル)だけです。行政上の線引きこそオー・メドックですが、足元に広がるのはマルゴーと変わらぬ深い砂利質土壌。ベルヴューの実力の源は、まずこの恵まれた立地にあります。
そしてもう一つ、このシャトーを唯一無二の存在にしているのがプティ・ヴェルドです。晩熟で気難しく、多くの造り手が数パーセントの「隠し味」としてしか使わないこの品種を、ベルヴューは畑の15〜20%も植えています。しかも一部の区画には1930年代に植えられた古木が今も残る、ボルドー最古級のプティ・ヴェルド。この老樹たちが、ワインにスミレやスパイスの香気と、他では味わえない張りつめた骨格を与えてくれるのです。
眠っていた畑を蘇らせたのは、2004年にこの地を手に入れたヴァンサン・ミュリエ。JPモルガン出身という異色の経歴を持つ彼は、約15haの畑に徹底した手仕事を持ち込みました。丁寧な芽かき、手摘みによる収穫、5℃前後で20日にもおよぶ低温浸漬、最長45日という長い果皮浸漬、そしてポンプに頼らず重力を活かしたデレスタージュ。樽内でマロラクティック発酵を行い、14〜16か月の熟成を経て瓶詰めされます。カベルネ・ソーヴィニヨン約50%、メルロ約35%、そしてプティ・ヴェルドという構成から生まれるワインは、熟した黒い果実の豊かさと、しなやかに伸びるタンニンを併せ持ちます。
その品質は2020年に刷新されたクリュ・ブルジョワ格付けで最上位「クリュ・ブルジョワ・エクセプショナル」に認定され、環境認証HVEも取得。さらに古木のプティ・ヴェルドだけを選び抜き、アンフォラと400Lの大樽で育てた特別キュヴェ「プティ・ヴェルド・バイ・ベルヴュー」も誕生しました。年産わずか15,000本、この畑だからこそ成立する一本です。
格付けシャトーのすぐ隣で、静かに、しかし確かに。ベルヴューは、"名前"ではなく"中身"でワインを選びたい人のための一本です。





