
Closerie Saint Roc
クロズリ・サン・ロック
【400年の血脈が、いま新たな地で目覚める】
ボルドー右岸、サン・テミリオンとポムロールを潤すのと同じアステリアン石灰岩の層が、静かに地下へと続いていくその先。16ヘクタールの石垣に囲まれた一区画に、Closerie Saint Roc(クロズリ・サン・ロック)はあります。この地を手にしたのは、1610年から400年以上にわたってボルドーの伝説的ドメーヌ「シャトー・ル・ピュイ」を守り継いできたアモロー家。2013年、パスカル・アモローがこの畑を蘇らせたことで、一族が受け継いできた哲学は新たな舞台を得ることになりました。
土壌は化石を豊かに含む粘土石灰質。かつてここが原始の海の底だったことを物語る貝の化石が、鍬を入れるたびに顔を出します。ポムロールやサン・テミリオンと地続きの石灰岩盤が、ブドウに凛としたミネラルと張りのある骨格を与えるのです。またこの地は、12世紀に英仏が覇を競った歴史の舞台でもあり、大地そのものが幾世紀もの記憶を静かに宿しています。
畑ではEcocertとDemeterの両認証を取得したビオディナミ農法を実践。土を締め固めない馬耕を今なお守り、化学的な薬剤は一切用いません。醸造もまた徹底しています。自生酵母による自然発酵、穏やかな抽出、古樽での熟成、無清澄・無濾過、そして亜硫酸は無添加。さらに月の満ち欠けに合わせ、時計回りと反時計回りを交互に繰り返す「ダイナミゼーション」を施すという、他に類を見ない手法が用いられます。区画ごとに別々に仕込まれ、それぞれがシングルヴィンヤードとして瓶詰めされるのも、この土地の声を余さず伝えるためです。
品種はメルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン。生まれるワインは、古典的なボルドーが持つ端正な優雅さと、人為を排したナチュラルワインならではの生き生きとした躍動感が、みごとに同居した一杯です。凝縮した果実の奥から、石灰由来の清らかなミネラルと森を思わせる複雑な香りが立ちのぼり、余韻はどこまでも澄みきっています。
400年の時が磨き上げた哲学が、まっさらな畑で新たに芽吹く。その稀有な瞬間を、ぜひグラスの中で味わってみてください。






